好きとか
嫌いとか
もうそんなんじゃなくて、
「…あんたねぇ」
溜め息混じりのこの呼び掛け。
もう何度目がわからない。
その名の通り、淡い桜色をした気の強い彼女はぎりりとオレを睨んでいた。
睨みながら、かすり傷には少し痛い程度の怪我に手当をしてくれている。
ありがたい、と思う。
「逸る気持ちもわかるけど!その前にあんたに何かあったらどーすんのよ!」
怪我と言うほど深くもないそれは、多分直ぐに傷跡すら消えてしまうだろう。
持ち前の治癒力、こんな時だけは化け狐に感謝。
だけど。
こんな場所には止まっていられない。
早く、早く、
見つけないと。
終わったわよ、その言葉に現実に戻る。
先走る気持ちを読んだような彼女が新緑の瞳を歪めていた。
「あのね、ナルト」
痛そうな、表情だと思った。
どうしたの、聞こうとして止めた。
オレだって多少、空気くらい読む。
下忍時代からの幼なじみは意を決したように口を開いた。
「私だって気持ちはあんたと同じ。だけどね。あんたと違うのは、サスケ君だけじゃなくてあんたにも無事で居て欲しいの!」
泣きそうになりながら。
サクラちゃんは続けた。
吼えるような、勢いで。
「サスケ君が帰ってきたとき、あんたと私がいなくてどうすんのよ!」
はっとした。
今まで、アイツを取り返す。それしか頭になかった。
その時に、誰が誰を迎えるとか
考えていなかった
ただ、アイツに、サスケに帰る場所はここだと教えて
帰って来て欲しかった。
それしか、考えていなかった。
「サクラちゃん…ごめん」
帰る場所には、迎える誰かが必要で、
その誰かが大切なこと。
「わかればいいわ」
彼女はオレに背を向けた。
「さ、行くわよ」
駆け出すその先、空は群青。
森は墨色。
好きとか
嫌いとか
そんなものじゃなく
大事なヤツを守りたいと、
そう誓っただけ
【春風の下で】
(またみんなで笑いたいだけ)
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【軌跡の果て】の金髪サイド
最近全く読んでないから偽物臭さが素晴らしい
最早疾風伝、
金髪「サスケ待てコラー!」
黒髪「つかまえてみやがれウスラトンカチ!」
にしか見えない件(フィルター外せよ