「おっはよー!圭ちゃん、レナ!」
二人の姿を見つけて、私は元気よく声を張り上げた。
「おーっす」
「おっはよー魅ぃちゃん♪今日も元気だね☆だねっ☆」
レナの嬉しそうに返ってくる返事がなんとも可愛い。
一方の圭ちゃんはなんだか微妙な顔をしている。
「どしたの?圭ちゃん。まさかおじさんのこと忘れちゃったわけぇ?」
ニヤニヤと嫌らしい笑顔で挑発してみる。
「別にわすれてなんかねーよ。で?詩音、魅音の振りして今日は何を企んでんだ?」
…ありゃ?
圭ちゃんの言葉にレナは私と圭ちゃんをキョロキョロと見比べて
「圭一くん…それ、本当かな?…かな?魅ぃちゃんじゃなくて詩ぃちゃん?」
たった一言でバレるなんて。
私達姉妹の入れ替わり術は完璧な筈なのに。
「詩音は興宮でしょー?まさかまだ寝ぼけてるぅ?」
「寝ぼけてねーよっ!!」
圭ちゃんは私の頭をわしゃわしゃとかき回して
「じゃぁ今日は魅音ってことにしてやるよ」
そう言ってへへっと笑った。
レナはいまいちわかっていないらしく詩ぃちゃん?魅ぃちゃん?と首をかしげていた。
******
「って感じで圭ちゃんは一発で私が詩音だって見抜きましたよ」
今日1日のことをお姉に報告する。
今日の入れ替わりはお姉から持ち込まれた相談…というか愚痴から始まったから。
『圭ちゃんが私達が入れ替わったら絶対わからないだろうなって言ってた…他の誰にもわからなくて構わないけど…圭ちゃんだけにはわかってほしいな…なんて…無理、だよね…』
なーんてめそめそうじうじしながら言うもんだから、つい。
『ならお姉。実験しましょう。明日1日入れ替わってみません?』
ただ面白そうだと思ったからそう提案した。
見抜けるなんて思ってなかったから、1日魅音の振りをして圭ちゃんをからかって遊べればいいや。
それくらいにしか考えてなかった。
なのに。
実際はたった一言で見抜かれてしまった。
「詩音…ありがと」
「いーえー。正直私も意外でしたね。レナさんならともかく…キングオブ鈍感な圭ちゃんに見抜かれるなんて」
「でも…嬉しいな」
「まぁそれだけ圭ちゃんはお姉のことを見てるってワケですからもっと自信を持ってもらいたいですね」
「…自信って…?」
「圭ちゃんに意識されてる自信ですよ」
お姉の顔がぽっと赤くなる。
この顔を見せれば圭ちゃんだって一発できゅんきゅん☆なのに。
「ま、お姉。せいぜい頑張ってください。私もたまには応援します」
不器用で意地っ張りな姉と口先だけは達者のキングオブ鈍感。
端から見れば付き合いたてのカップルに見えるのに、本人達は物凄く鈍感。
見ててうざいくらい。
でもそんなある意味バカップルを放っておけない私も、充分バカなんだろうな。
end
お題はバカップルⅡ「制服交換」
でした
達成してる感が無い… orz
配布先様
http://32.xmbs.jp/odai/
lose